ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

映画

夏をゆく人々

夏の映画 恵み多き大地エトルリア人の土地古代ローマ以前の、簡素で純朴なくらし伝統的な養蜂業を営む家族移民の父。恐ろしい父優しい母しっかり者の長女さぼり屋の次女一家の暮らしに突然入り込んできた人工的なきらびやかな世界。現金収入の誘惑一つの寝台…

梅雨時にふさわしい映画

昨日からの湿度はヒドい。 陸の上で湿気に襲われる感覚。 氷床も溶けてるって言うし、きっと皆溺れるんだな。 などと湿っぽい妄想はどけといて…。 モヤッとする梅雨に、あえてモヤッとする映画鑑賞は如何でしょう? 相殺して90%の湿度を吹き飛ばしましょう。…

ヤーフの生き様

スウィフト『ガリバー旅行記』レビュー。 今週のお題「海」 船乗りのガリバーは、難破してたどり着いた小人の国や巨人国で、 親切にされたり、見世物にされたり、 殺されそうになりながら、 なんとか生き延びて帰国し、 性懲りも無くまた新しい航海に出かけ…

雨が印象的な映画 2

お金が要るのよ。恋人と結婚するために。 そこへ見せびらかすように現金をちらつかせるクライアント。わたしにどうしろと? 他人の金に手を出し、逃走する女。大丈夫まだ誰も気づいていないわ。あの警官はなぜ追いかけてくるの?ああ、早く一刻も早く、この…

「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲

今週のお題「わたしの好きな歌」 ひたすらに美しく、憂いを含んだこの曲が好きで。 なんとか記事にできないものかと思っていました。 この映画のこのシーンに使われていたとは。 youtu.be 「主人公に償いをさせねばならない」 フランシス・フォード・コッポ…

さいごの時に思い出したい

雨が印象的な映画 憧れの美しい少女。 高嶺の花はなかなか振り向いてくれない。 少年にあるのは、情熱とひたむきさだけ。 そして、ついに少女の心をつかむ。 働かねばならない少年。 少女の両親に反対され、二人は引き離される。 会うこともできない。 映写…

『パルナサスの鏡』PG12

The Imaginarium of Doctor Parnassus 「永遠に続く話を物語っている。この世を持続させる物語。 大河もの、ロマンス、予期せぬ死の物語…何でもいい。 この世を持続させ、我々も存在する」 物語が語られなくなったら、世界は消滅する。 しかし時代は進み、も…

デュ・モーリア『鳥』

突然鳥の大群が人を襲い出す。 ヒッチコックの映画『鳥』が有名ですが、 原作には、映画では触れられていなかった、なぜ鳥が急に狂ったか? その理由が語られています。(務台夏子訳 創元推理文庫) 冒頭、主人公が海鳥を観察するシーン。 主人公はいつも以…

かくも長き不在

悪い男を愛し信じ待つ女『第三の男』 敵の兵士を愛し信じ裏切られ、復讐を遂げる。それでも愛ゆえ慟哭する女『夏の嵐』 優しかった夫が変わり果てた姿で現れた。しかし、女の愛は変わらない『かくも長き不在』 今GYAO!でどなたでもご覧になれます。 主演は…

映画『ねじれた家』の家は『家』ではない?

映画を観て、色々分からない所があったので、原作を読んでみました。 アガサ・クリスティ本人が最高傑作と呼んだそうですが?果たして? タイトル『ねじれた家』のねじれ具合。大元の大富豪の生き様。肝心のそこが、映画では詳しく描かれていないように思っ…

小津安二郎『ここが楢山』

今週のお題「母の日」 母は明治八年生れ。三男二女をもうけて、僕はその二男に当る。他の兄妹は、それぞれ嫁をもらい、嫁にゆき、残った母と僕との生活が始まってもう二十年以上になる。 一人者の僕の処が居心地がいいのか、まだまだ僕から目が放せないのか…

秀作ぞろいなのでご覧になってみてはいかがでしょうか

喪失のあと(Lost & Found) 深い水の中で(Deep Water) 今GYAOでご覧になれます。 ショートショートフェスティバルアジア2018 ノンフィクション部門

太い魂胆

浮世絵を銅版画でやってやろうという 太い魂胆を汲んでやってください &nbsp 永らく小津安二郎の日記や語録を見ていただき、ありがとうございました。 特に小津映画のファンというわけではなかったのですが…。 日記を見つけた時は小躍りしました。 埋もれた…

雑種犬

君 もっと雑種の犬を可愛がる気持ちになれませんかー趣味性に於いて潔癖なことは結構ですけれどー S.Ken 『小津安二郎全日記』 小津は黒澤の『野良犬』が好きだと言っていた。 https://m.ok.ru/video/21188184684

映画『ルージュの手紙』

頑固に自分の生き方を貫いている、シングルマザーの主人公(フロ)。助産婦の仕事は彼女の生活の糧であり、生き甲斐でもある。一人息子は母の希望通り、外科医を目指し医学部に通う。 堅実な生活を、絵に描いたような日々。しかし、「そうは問屋が卸さない!」…

コンニャクとトウフ屋

映画には文学的要素と絵画的要素と音楽的要素がある。だから映画は芸術であるというような、変哲もない本質論である。いまから思うとつまらぬことを、わざわざ難しく書いているような本だ。このコンニャクは、醤油もしみているし、砂糖もきいているし、唐が…

雨水

torne ぽかぽかと暖かに障子に光が当たってゐる。ぐっすり寝込んで湯に入って新潟に手紙を書いたり明日上京するい云ふ橋下(中学の同窓生)に電報を打ったり山の上の天野屋の土蔵が白く 干鰈(かれい)の味もよく一寸うららかな気になる 小津安二郎全日記

伊豆の春

天城山 naru w 伊豆の春 これは未だまことに浅い 天城には残雪が淡く 修善寺から湯ヶ島 湯ヶ野 下田へとつづく街道には 踊りの子の姿も見えず電柱が風に鳴ってゐる。 『小津安二郎全日記』

Yamashita Yohei 雨はげしく厄日近きを思はす (小津安二郎 全日記)

数年来生きのこりたる池の鯉

GollyGforce この暑さにうく 『小津安二郎 全日記』

『黒飴もひとかたまりの暑さかな』 小津安二郎全日記 「ああ、暑い!汗一升かいた」 母(姑)の口癖です。 一升は約1.8リットル。一日に飲む水の量(約2L)から概算して、 あながち大げさでもないのかな、と思いつつ。 朝三時に起きて窓を開け、四時に起きだし、…

『蓮を描いて泥を識る』

ansel.ma 《泥中の蓮……この泥も現実だ。そして蓮もやはり現実なんです、そして泥は汚いけれど蓮は美しい、だけどこの蓮もやはり根は泥中にある……私はこの場合、泥土と蓮の根を描いて蓮を表す方法もあると思います、しかし逆にいって蓮を描いて泥土と根をしら…

『麦秋』

ヒロインはなぜ、寡(やもめ)のさえない男を選んだか?永遠の謎でしょうか? 紀子は夢見がちな女性。どこか周りと違う次元に生きている。実家暮らし、気のおけない友人、丸の内でタイピストの仕事。不自由はない。周囲が結婚を勧めても、焦るどころか全く本…

『馬を放つ』

http://www.bitters.co.jp/uma_hanatsu/ だれもが忘れた遠い昔、 草原の草のように、地に根付いていた、 信仰、友愛、結束。 それこそ本来の、 純粋な、無償の、本物の、 あるべき人の姿なのだ。

『旅の空』小津安二郎

旅は青空だ 葉桜の梢に春日は遅々として ちぎれ雲が天城の上にとんでゐる 緩かな山の起伏に何処までも電線はつづいて 牛はゆるりゆるりと歩いている郵便屋は汗を拭いてゐる 床屋には田舎まわりの芝居のびら蓮華畑には水車小屋ーあとは大和田健樹の名文を想ひ…

孤独のススメ

今年一番の映画に出会いました。(いちおうコメディ) 『孤独のススメ』2013年 オランダ映画 (原題 マッターホルン) どこまでも、ど平らな土地。 信仰という生活規範を遵守し、 マッチ箱のような家で暮らす人々。 父の美声を受け継ぎ、かつて天使の歌声で歌…

小説『ともに歩めと言われた』

『ひつじ村の兄弟』 ookumaneko127.hatenablog.com 続きの創作小説。(ネタバレあり注意) あの映画のあの後は一体どうなったのだろう?気になりすぎて眠れない。そうだ、自分で書いてしまえ。あの時、あの吹雪の中、互いの体温を分け合った兄弟はそのまま誰…

ひつじ村の兄弟

40年間口をきいていないグミーとキディの兄弟 カインとアベルを想起させる題名です。 羊の飼育で生計を立てる人々の、日常と簡素な暮らしぶりが 美しい自然の中、淡々と描かれます。 そして 牧歌的な風景とは打って変わって、 現実に起こってしまう悲惨な出…

大いなる沈黙へ

http://www.ooinaru-chinmoku.jp/ 大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院 聖ブルーノの言葉 『規律の厳しさと霊的な鍛錬が 弱い精神にのしかかるときは 荒れ地の魅力や 野の美しさに 安らぎと活力を得るものである』 聖人の言葉に習い、 われは野を…

ミスター・ホームズ

シャーロック・ホームズは引退後どのように暮らしたのだろう?ミステリー好きなら気になるところだ。今まで通り家事一切を任せるために、 ハドソン夫人を連れベーカー街を後にし、 風光明媚な田舎町に転居する。 老後にとっておいた研究と著作に日夜没頭し、…