ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

若山牧水

『夏の寂寥』若山牧水

柘榴の茂み檜葉の茂みを透いて、 紺の色の空が見えた。 浮雲ひとつ無い空だ、 めらめらと燃える樣にとも、 または、 死にゆく靜けさを持つたとも、 いづれとも云へる眞夏の空だ。 十本たらずの庭木の間に立つて、 ぼんやりとその空を仰ぎながら、 ぼんやりと…

雨を好むこゝろは確に無為を愛するこゝろである

今週のお題「雨の日の楽しみ方」 降るか照るか、私は曇日を最もきらふ。 どんよりと曇つていられると、頭は重く、手足はだるく 眼すらはつきりとあけてゐられない様な欝陶しさを感じがちだ。 むろんなし事は手につかず、さればと云つてなまけてゐるにも息苦…

雨を好むこゝろは確に無為を愛するこゝろである

降るか照るか、私は曇日を最もきらふ。 どんよりと曇つていられると、頭は重く、手足はだるく 眼すらはつきりとあけてゐられない様な欝陶しさを感じがちだ。 むろんなし事は手につかず、さればと云つてなまけてゐるにも息苦しい。 それが静かにあたりを濡ら…