ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

2019-08-15から1日間の記事一覧

『夏の寂寥』若山牧水

柘榴の茂み檜葉の茂みを透いて、 紺の色の空が見えた。 浮雲ひとつ無い空だ、 めらめらと燃える樣にとも、 または、 死にゆく靜けさを持つたとも、 いづれとも云へる眞夏の空だ。 十本たらずの庭木の間に立つて、 ぼんやりとその空を仰ぎながら、 ぼんやりと…