ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

いちょうの木

お題「ささやかな幸せ」

 

MiNOL_000

 

庭の銀杏の木が、

昨日の強風で葉っぱを撒き散らしている。

「さあ、早くわたしの髪の毛を片付けておくれ」

銀杏の木は半世紀以上、

地盤が硬く根を深く張れない、

この日当たりの悪い庭に居座っている。

「家を守っているのさ」

水分の多い葉っぱは、地面にへばり付いて、
なかなか素直に掃かせてくれない。
数日そのままにして乾燥させなければ。

「ああ、目まったるい、早く掃いてしまうんだよ、

この野呂間!」


大お婆さんの植えた銀杏の木。
娘たちは無関心。

嫁は腰が難儀だが、履き清めるのが嫌いではない