ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

恋愛

『夏の嘆き』伊東静雄

Ramon Harkema われは叢(くさむら)に投げぬ、熱き身とたゆき手足を。 されど草いきれは わが体温よりも自足(じそく)し、 わが脈搏(みやくうち)は小川の歌を乱しぬ。 夕暮よさあれ中つ空に はや風のすずしき流れをなしてありしかば、 鵲(かさゝぎ)の…

『いかなれば』伊東静雄

Takashi Hososhima いかなれば今歳(ことし)の盛夏のかがやきのうちにありて、 なほきみが魂に去年(こぞ)の夏の日のひかりのみあざやかなる。 今週のお題「夏休み」 ookumaneko127.hatenablog.com ookumaneko127.hatenablog.com

小説『梅雨の晴れ間』

彼女洗濯物を落とすぞ 写真 工藤隆蔵 「あ」思う間もなく、タオルを落とした。ベランダのコンクリに。「またやった」どうしてこう不器用なんだろう。いつもこのタイミングで、洗濯したものを落っことす。(いつもこのタイミングで男が逃げていく)落っことす…

デュ・モーリア『林檎の木』

「こうしてふたりは、心を通いあわせることなく、別々の世界で暮らしていた。……」 どこにでもいる夫婦。 無理解。感謝の不在。倦怠。 それらの悪しき環境下で、習慣化し永遠に続くかに見える生活の儀式。 随分前に、『レベッカ』(ヒッチコックの映画『レベ…

夏至の魔法

photo by hans s 西欧世界では、この日は『魔法の力』が働いていると信じられているそう。 しかも、男女の出会いの魔法だそうで。 迷信と侮るなかれ。 その九ヶ月後には、実際出生率が上がる、というデータもあるらしい。 それに踊らされているワケではない…