『夏の嘆き』伊東静雄
Ramon Harkema
われは叢(くさむら)に投げぬ、熱き身とたゆき手足を。
されど草いきれは
わが体温よりも自足(じそく)し、
わが脈搏(みやくうち)は小川の歌を乱しぬ。
夕暮よさあれ中つ空に
はや風のすずしき流れをなしてありしかば、
鵲(かさゝぎ)の飛翔の道は
ゆるやかにその方角をさだめられたり。
暑さ続きで嘆き節…。
われは叢(くさむら)に投げぬ、熱き身とたゆき手足を。
されど草いきれは
わが体温よりも自足(じそく)し、
わが脈搏(みやくうち)は小川の歌を乱しぬ。
夕暮よさあれ中つ空に
はや風のすずしき流れをなしてありしかば、
鵲(かさゝぎ)の飛翔の道は
ゆるやかにその方角をさだめられたり。