ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

二次創作

宮沢賢治『猫』

C*A(t) (四月の夜、とし老った猫が) 友達のうちのあまり明るくない電燈の向ふにその年老った猫が しづかに顔を出した。(アンデルゼンの猫を知ってゐますか。 暗闇で毛を逆立てゝパチパチ火花を出すアンデルゼンの猫を。)実になめらかによるの気圏の底を…

太い魂胆

浮世絵を銅版画でやってやろうという 太い魂胆を汲んでやってください &nbsp 永らく小津安二郎の日記や語録を見ていただき、ありがとうございました。 特に小津映画のファンというわけではなかったのですが…。 日記を見つけた時は小躍りしました。 埋もれた…

雑種犬

君 もっと雑種の犬を可愛がる気持ちになれませんかー趣味性に於いて潔癖なことは結構ですけれどー S.Ken 『小津安二郎全日記』 小津は黒澤の『野良犬』が好きだと言っていた。 https://m.ok.ru/video/21188184684

急がない人生

Haircut 1956 80になって、街を歩いていると ふと窓を見た時 年寄りが一緒に歩いている。 それが自分だと悟るのさ。 Snow 1960 本当の世界は 隠れたものとつながっている。 私たちは信じたがる。 公になっているものこそ世界の真相だと。 Saul Leiter In No …

コンニャクとトウフ屋

映画には文学的要素と絵画的要素と音楽的要素がある。だから映画は芸術であるというような、変哲もない本質論である。いまから思うとつまらぬことを、わざわざ難しく書いているような本だ。このコンニャクは、醤油もしみているし、砂糖もきいているし、唐が…

雨水

torne ぽかぽかと暖かに障子に光が当たってゐる。ぐっすり寝込んで湯に入って新潟に手紙を書いたり明日上京するい云ふ橋下(中学の同窓生)に電報を打ったり山の上の天野屋の土蔵が白く 干鰈(かれい)の味もよく一寸うららかな気になる 小津安二郎全日記

伊豆の春

天城山 naru w 伊豆の春 これは未だまことに浅い 天城には残雪が淡く 修善寺から湯ヶ島 湯ヶ野 下田へとつづく街道には 踊りの子の姿も見えず電柱が風に鳴ってゐる。 『小津安二郎全日記』

Yamashita Yohei 雨はげしく厄日近きを思はす (小津安二郎 全日記)

数年来生きのこりたる池の鯉

GollyGforce この暑さにうく 『小津安二郎 全日記』

『黒飴もひとかたまりの暑さかな』 小津安二郎全日記 「ああ、暑い!汗一升かいた」 母(姑)の口癖です。 一升は約1.8リットル。一日に飲む水の量(約2L)から概算して、 あながち大げさでもないのかな、と思いつつ。 朝三時に起きて窓を開け、四時に起きだし、…

『蓮を描いて泥を識る』

ansel.ma 《泥中の蓮……この泥も現実だ。そして蓮もやはり現実なんです、そして泥は汚いけれど蓮は美しい、だけどこの蓮もやはり根は泥中にある……私はこの場合、泥土と蓮の根を描いて蓮を表す方法もあると思います、しかし逆にいって蓮を描いて泥土と根をしら…

梶井基次郎『海 断片』

Tony Hisgett それは実に明るい、快活な、生き生きした海なんだ。 未だかつて疲労にも憂愁にも汚されたことのない純粋に明色の海なんだ。 遊覧客や病人の眼に触れ過ぎて甘ったるいポートワインのようになってしまった海ではない。 酢っぱくって渋くって泡の…

『青い窓』櫻間中庸

sinkdd へちま垂れてる青い窓――ピアノの音(ね)してた青い窓――だれだか知らない住んでゐた――どこだか知らない越してつた――いつも通つてく學校道――へちま搖れてる青い窓――

『蝙蝠』櫻間中庸

Igam Ogam ひつそり蝙蝠を待つてた草の葉は夜露にぬれてたそつと高く投げた草履蝙蝠が落ちたやうだぞまがきの向の細い音まがきをつんとのぞいたら酸つぱい花の香が泌みた

『麦秋』

ヒロインはなぜ、寡(やもめ)のさえない男を選んだか?永遠の謎でしょうか? 紀子は夢見がちな女性。どこか周りと違う次元に生きている。実家暮らし、気のおけない友人、丸の内でタイピストの仕事。不自由はない。周囲が結婚を勧めても、焦るどころか全く本…

『東京物語』小津安二郎

John 五月二十八日午前二時脱稿、一〇三日間、酒一升瓶四十三本。食ってねつのんでねつ、ながめせしまに金雀枝の花のさかり過ぎにけり、ながめせしまに、豆となりぬる、金雀枝の花のいつしか散りにけり

栴檀は花

食膳に鮎あり 微風みどりの梢に渡りて酒旗へんぽん(翩翻) 『小津安二郎全日記』 m-louis

ライスカレー

Bong Grit 朝庄司の風呂に入る ライスカレーを食う別に帰る故里のない東京っ子には何とはなしのこのお上り趣味がよい 『小津安二郎全日記』

『麺くひ』桂三木助

私の母が蕎麦好きだった故 ? 私も大変蕎麦好きです。が、その割に量は頂けません。「もりそば」を二つ並木のやぶのような軽く盛ってある家ので、せい/″\三枚というところですか。でも、蕎麦屋の前を通った時、あのなんとも言えない蕎麦の香りが鼻に入ると…

『新茶のかおり』田山花袋

サカタのタネ 新茶のかおり、これも初夏の感じを深くさせるものの一つだ。雨が庭の若葉に降濺ぐ日に、一つまみの新茶を得て、友と初夏の感じを味ったこともあった。若い妻と裏にあった茶の新芽を摘んで、急こしらえの火爐を拵えて、長火鉢で、終日かかって、…

『五月五日』

Ville Misaki お節句 たべたくもなく柏もちを一つ水浅黄の空に吹き流し ちまき 鰹 五月はまことによろしい 『小津安二郎全日記』

『五月よ』仲村渠

Tobias Nordhausen 空の遠くに五月が真つ青く咲いて指をさして僕はその爪先に希望をともして身は街裏に五月を待つ

『旅の空』小津安二郎

旅は青空だ 葉桜の梢に春日は遅々として ちぎれ雲が天城の上にとんでゐる 緩かな山の起伏に何処までも電線はつづいて 牛はゆるりゆるりと歩いている郵便屋は汗を拭いてゐる 床屋には田舎まわりの芝居のびら蓮華畑には水車小屋ーあとは大和田健樹の名文を想ひ…

夏目漱石の公演より

Mark Nye この世界には私と云うものがありまして、 あなた方(がた)と云うものがありまして、 そうして広い空間の中におりまして、 この空間の中で御互に芝居をしまして、 この芝居が時間の経過で推移して、 この推移が因果の法則で纏(まと)められている…

四月

若芝に日がな雨ふりいたりける ~Izee~by~the~Sea~ 『小津安二郎全日記』

落椿

rosemary* 『落ちざまに 虻(あぶ)を伏せたる 椿かな』 夏目漱石 『思い出草』寺田寅彦http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2490_11025.html

『ゆがみつゝ月は出で』宮沢賢治

Sweet Ice Cream Photography on Unsplash ゆがみつゝ月は出でうすぐもは淡くにほへり汽車のおとはかなく恋ごゝろ風のふくらしペンのさやうしなはれ山の稜白くひかれり汽車の音はるけくなみだゆゑ松いとくろしかれ草はさやぎてわが手帳たゞほのかなり PM2.5 …

浅春

薫黛(くんたい)のむし歯いためる浅き春 Ben Houdijk 『小津安二郎全日記』 薫黛(くんたい) 良い香りのする眉墨 交友のあった小田原芸妓 森栄のことを詠んだ句、と言われる。

室生犀星『春分』

Sangudo うすければ青くぎんいろにさくらも紅く咲くなみに三月こな雪ふりしきる雪かきよせて手にとれば手にとるひまに消えにけりなにを哀しと言ひうるものぞ君が朱なるてぶくろに雪もうすらにとけゆけり 室生犀星『三月』(抒情小曲集) 春分の日、冬の寒さ…

鯛茶漬け

Sotaro OMURA 春風をさらさら茶漬けたうべけり 『小津安二郎全日記』