空は碧いという けれども私はいう事が出来る 空はキメが細かいと
私は彫刻家である。
多分そのせいであろうが、私にとってこの世界は触覚である。
触覚はいちばん幼稚な感覚だと言われているが、
しかもそれだからいちばん根源的なものであると言える。
彫刻はいちばん根源的な芸術である。
人は五官というが、私には五官の境界がはっきりしない。
多分そのせいであろうが、私にとってこの世界は触覚である。
触覚はいちばん幼稚な感覚だと言われているが、
しかもそれだからいちばん根源的なものであると言える。
彫刻はいちばん根源的な芸術である。
人は五官というが、私には五官の境界がはっきりしない。
空は碧いという。けれども私はいう事が出来る。空はキメが細かいと。
秋の雲は白いという。白いには違いないが、
同時に、其はいちょうの木材を斜に削った光沢があり、
春の綿雲の、木曾の檜(ひのき)の板目とはまるで違う。
考えてみると、色彩が触覚なのは当りまえである。
光波の震動が網膜を刺戟するのは純粋に運動の原理によるのであろう。
光波の震動が網膜を刺戟するのは純粋に運動の原理によるのであろう。
今週のお題「わたしの課外活動」本日は秋晴れ列島だそうです。
『饗宴』宮沢賢治
今週のお題「わたしの課外活動」
ya-itt
ひとびと酸き胡瓜を噛み
やゝに濁れる黄の酒の
陶の小盃に往復せり
そは今日賦役に出でざりし家々より
権左エ門が集め来しなれ
まこと権左エ門の眼双に赤きは
尚褐玻璃の老眼鏡をかけたるごとく
立つて宰領するこの家のあるじ
熊氏の面はひげに充てり
榾のけむりは稲いちめんにひろがり
雨は滔々と青き穂並にうち注げり
われはさながらわれにもあらず
稲の品種をもの云へば
或いはペルシャにあるこゝちなり
この感じ多く耐へざる
背椎の労作の後に来り
しばしば数日の病を約す
げにかしこにはいくたび
赤き砂利をになひける
面むくみしつ弱き子の
人人の背後なる板の間に座りて
素麺をこそ食めるなる
その赤砂利を盛れる土橋は
楢また檜の暗き林を負ひて
ひとしく雨に打たれたれど
ほだのけむりははやもそこに這へるなり
巡礼者
今週のお題「わたしの課外活動」
秋は巡礼の季節ですね。
山岳信仰が盛んな山々が見下ろす盆地で生まれ育ちました。(それとは関係なく、幼い頃は教会に通っていました)
故郷を遠く離れ、懐かしさから山行を始めました。
長野県と富山県の県境の山に登った時、「こんな場所に」と
驚くような山のてっぺんに、お社がひっそりと鎮座していました。
ただひたすら登るしかない、がれ場続きの険しい山です。頂上は畳1畳ほどの広さで小さな祠がありました。
そこは御霊山なのでした。
高齢の宮司が毎日ここまで礼拝に来ると聞き驚きました。お祓いのために登ってくる登山者もいて、お参りをする時はそこに跪きます。
(ちょっとバランスを崩すと、頭から真っ逆さまに落っこちそうだな、どちらかの県に)などと不謹慎なことを想像していたせいか、下山するまでひどい頭痛に苛まれました。
父がまだ生きていた頃、
知れると怒るので内緒で。病気快癒祈願のお札を手に入れるためでした。
かつての見慣れた山々がそこにありました。子どもの時は、山で修験者に出会ってはいけないと脅かされていたので、若い広報係の男性が、あの格好で「どうもですー」と出てきた時には、笑ってしまいました。
祈祷の内容は他言無用なので書くことはできません。
ただ長い歳月の隔たりと、故郷へのわだかまりが最後まで解けず、信仰心はすでに失せ、効果はあまりなかったようです。
もう一つは父が亡くなってから、居ても立ってもいられずに行った長崎です。
個人旅行で一人旅でした。市内の聖所はもちろん原爆資料館も行きました。
圧巻は外海(そとめ)地区、遠藤周作の小説『沈黙』の舞台になった場所です。
そしてもう一度長崎の五島列島へ、教会巡りの旅に行きました。
今度は天草に、と思っていて未だ叶わずにいます。
サンティアゴ・デ・コンポステーラに行かずとも、
自分はそう言えば、巡礼らしきことをしたことがあったなあ…、という覚え書きです。
自分はそう言えば、巡礼らしきことをしたことがあったなあ…、という覚え書きです。
♪ エンヤ 『巡礼者』
おばあさんガンバれ
今週のお題「理想の老後」
さいきん自転車に乗っていて、そのまま横に倒れました。
過去には、自転車をこぎながら夕陽を見ていて、電信柱に正面激突した、ということはあった。そして家族に「そんな人いない」と責められ、「夕陽が見事だったから」と答えるしかなかった。
そういうアホさは元々自覚していたが、今回はそれとは違うヤバさである。
ふわ〜っと横に崩れ、自転車の重さを支え切れず倒れた。つまりはトロくなったということだ。
GATAG
若ければ自己嫌悪を感じたでしょうが。
今は違います。そんな自分を受け入れようと思いますよ。
今までこれが足りなかった。
訳もなく急がされ急いでばかりの人生。もう急ぐ必要もない。
訳もなく急がされ急いでばかりの人生。もう急ぐ必要もない。
もちろん人様に迷惑かけちゃいけませんよ。自爆でよかった。メデタシメデタシ。
しかし、タイトルはそんな私にかけられた、天の声ならぬムスメのひと言。
「★◆﹅●◉〓▼■!!!」
と、抗議しましたところ、
「みたまんま」
・・・
・・・
あはははー……、
口の悪い。
誰に似たんだか…?
ミスター・ホームズ
今週のお題「理想の老後」
シャーロック・ホームズは引退後どのように暮らしたのだろう?
ミステリー好きなら気になるところだ。
今まで通り家事一切を任せるために、
ハドソン夫人を連れベーカー街を後にし、
風光明媚な田舎町に転居する。
老後にとっておいた研究と著作に日夜没頭し、
空いた時間は趣味の養蜂を営む。優雅な日々。
しかし、そうは問屋が卸さない。
頼みの綱のハドソン夫人は、台所で倒れ腰と顎を骨折、
それが元で肺炎であっけなく逝ってしまう。
親友ジョン、兄マイクロフトも後を追うように世を去る。
取り残された老人ひとり。
実際の彼は……?
ものなのかもしれませんね。
老後にとっておいた研究と著作に日夜没頭し、
空いた時間は趣味の養蜂を営む。優雅な日々。
しかし、そうは問屋が卸さない。
頼みの綱のハドソン夫人は、台所で倒れ腰と顎を骨折、
それが元で肺炎であっけなく逝ってしまう。
親友ジョン、兄マイクロフトも後を追うように世を去る。
取り残された老人ひとり。
仕事は出来る。出来る男だった。
親友の冒険小説のせいで、
親友の冒険小説のせいで、
虚像が大衆のイメージに定着してしまったが。
実際の彼は……?
イアン・マッケランの老け演技が素晴らしい。
美しい風景の中で、実在感を持って描かれるホームズの姿。
“人生は学び得なかったことをその後半に突きつけてくる”
“人生は学び得なかったことをその後半に突きつけてくる”
ものなのかもしれませんね。