ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

遠藤周作『沈黙』

『乾きいる者は何びとも来るが良い。そして潤すが良い』


ほぼ原作通りの再現性でした。

最後以外は。








同行者は最初から最後まで涙腺崩壊だったそうです。

が、わたしは…。



かつてわたしは行ったのだ。

その物語を読み、いたく感動して彼の地まで。

殉教の地、長崎は外海(そとめ)へ。そして五島へ。



平地が少なく強風が吹きつける五島の海と山の地形。
うまく表現されていたと思います。

西洋人が再現する日本は、悪い冗談のような描写がほとんどなのですが、
この映画は、監督が良いのか、日本人スタッフが良いのか、
はたまた原作を鬼の執念で忠実に再現したかったのか。

とにかく、日本人が作った映画かと錯覚するほど、
小説『沈黙』の世界観が、良く表現されていました
マーティン・スコセッシの映像は、もともと鮮烈なリアリズムなので、
当時の日本の酷い弾圧の情景と合致したのかもしれません。

違うのは最後の部分と、原作ではキリスト教を弾圧する筑後(かみ)も、
『転んだ』(棄教した)元信者だったと思うのですが…。



隣のねこじさんをよそに、
わたしは今回は色々と考えてしまいました。

それよりも何よりも、
また長崎に行きたくなりました。