ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

読書感想文

量子の不条理

量子論が告げるのは、 我々の知に原理的な限界があって、 対象のなにかの性質についての完全な知識を得ると、 それと相補的な性質に関する完全な無知が招来される、 ということである。 『エキゾティックな量子』全卓樹 写真 chez sugi

単騎千里を走る

関公(関羽雲長)は、歴史上、物語中で、最も好きな登場人物。 三国時代。三国志物語。真偽合わせた、数多くのエピソードの中でも、『単騎千里を走る』は、感動的、胸のすく大好きな逸話だ。 暴君と恐れられていた魏の宰相、曹操は、敵の小国、蜀の武人『関…

芥川龍之介『春』

芥川龍之介、未完の小品。 かねてより『猿』と揶揄していた男と、結婚すると言いだした妹。 姉は本意を知るべく、当の『猿』に会いに行く。 『妹は一体あなたのどこが良くて結婚するというのかしら?』 物語は、博物館の中を姉と猿が歩き周り、姉は情報を引…

片付けの合間にこんなところに埋没しています

( ホビット ゆきてかえりし物語 J.R.R.トールキン ) 今回は映画を見る前に読んでおこうと思って。 映画『ホビット 思いがけない冒険』予告編 お金や時間や命をかけなくとも こうして家に居ながらに 師走の忙しいさなかに ファンタジー世界にディープに遊ぶ…

災いのもとみたいな手合いを皆殺しにするぐらいなんの苦労もいるものか

「 なぜ……この悪者たちに襲いかかっていかないのだろう? こんな巣の周りにいる災いのもとみたいな手合いを皆殺しにするぐらい、 なんの苦労もいるものか。……。 しかし、生きとし生けるものを保存する調和の法則は、 それを望まないのである。」 p146 ハナダ…

虫は何を教えてくれる

解剖学の微妙なさじ加減 食う食われるの弱肉強食 繁殖にかける叡智の粋 巧妙な老練な土木建築石工技術 そしてなにより massであるということ 種としての生き残り ココロヲモタヌチイサナキカイ。。。 ( 『ファーブル昆虫記』へのオマージュ )

虫は何を教えてくれる

夏の昼下がりの荒れ土を コロコロころがす大御馳走。 もしよろしければ、微力でも。 させて下さい。お手伝い。 協力者たるこのわたし。 決して略奪致しませぬ。 気を許したら大変だ。 盗られてなるか おおごちそう 一つの玉に2匹の虫 夫婦ではなく協力者で…

今年の夏はこんな風に過ごしていましたよ

この本にすっかり魅せられて夢中でした。 そのあまりの完成度の高さに 読まずに来た歳月を後悔したものです。 ( 『ファーブル昆虫記』 第一巻上下 )

センセイに見せたくない読書感想文

ヘッセ 「デミアン」 うちなるかみとあくまのたたかい わたしのばいぶる

子どもが夢中のデ○ノ○トはこの小説の焼き直し

ドストエフスキー 『罪と罰』 「墜ちた者に天誅を。」 その信念のもと、 罪を犯した無神論者の青年。 その罪の裁きの物語。 (センセイに見せたくない読書感想文)

遠藤周作  『海と毒薬』

この作品を読んだ時の鮮烈な印象を今でも忘れない。 こんな『たまらない気分』にさせるなんて、イヤな作家だ。 そう、思って、これ以降読まずにいた。 しかし、作家が亡くなった時、なぜか、とんでもなく罪悪感を感じた。 『読んでおけば良かった!バカだっ…

猟師、仏を射ること

『宇治拾遺物語』 賢人とされる僧侶よりも、 身分の低い猟師のほうが、 知恵も嗅覚も行動力も勝るという ワタシ好みの猟師、じゃなくって、 ワタシ好みの説話。

児の飴食ひたること

『沙石集』 欲ぼけした大人を、子どもがやり込める。 ワタシ好みの説話。

指輪物語「 The Lord of the Rings 」-Tolkien の邦訳 二

『なぜ、ゴラムを殺さなかったか』 魔法使いは言った。 「命をよみがえらせることが出来る者でない限り、命を奪ってはならない。」 「なにがしかの使命を負っているのだ。それが何かは誰にも分からない。」 汚れている者は殺せ、正しい者は生かせ、 こんな考…

指輪物語「 The Lord of the Rings 」-Tolkien の邦訳 一

映画を初めて観た時、どうしても一つ腑に落ちないことがあり、 そのことを確かめたくて、 私はこの邦訳を読んでみた。 なんとなくそうなのか、ああそういうわけか、 と、分かってきた気にはなったのだが‥。 そうまでして私が知りたかったのは、 『なぜ、ゴラ…