指輪物語「 The Lord of the Rings 」-Tolkien の邦訳 二
『なぜ、ゴラムを殺さなかったか』
魔法使いは言った。
「命をよみがえらせることが出来る者でない限り、命を奪ってはならない。」
「なにがしかの使命を負っているのだ。それが何かは誰にも分からない。」
汚れている者は殺せ、正しい者は生かせ、
こんな考えに凝り固まっている、自分自身に気付かされた。
もちろんこれが現代社会の通念ではあるが。
身も心も指輪に毒され、虜になり、もはや自分では指輪を葬ることが出来なくなってしまった主人公。
そして、そんな主人公から、指ごと指輪をもぎ取り、指輪とともに火の山の裂け目へと落ちて行ったゴラム。
もし、ゴラムがいなかったら、この醜い争いは、主人公と盟友ホビットとの痛ましい闘いになっていたはずだ
魔法使いが言ったその通りに。
「味方同士を闘わせる、それこそが悪魔の真骨頂。」
正しいか正しくないか、判断に焦るより、盟友同士の闘いになってはいないか、それこそが重要だ。
それにしても、ホビットの生活には憧れる。
私はホビットになりたい。
ビルボバギンズになりたい。
しかし、愛らしい小人族には多分なれないだろう。
背の高さから言って
魔法使いの弟子がせいぜいだろう。