ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

災いのもとみたいな手合いを皆殺しにするぐらいなんの苦労もいるものか

「 なぜ……この悪者たちに襲いかかっていかないのだろう?

こんな巣の周りにいる災いのもとみたいな手合いを皆殺しにするぐらい、

なんの苦労もいるものか。……。

しかし、生きとし生けるものを保存する調和の法則は、

それを望まないのである。」  p146




ハナダカバチは、自分の子どもが食い殺される危険を侵して、寄生バエの宅卵を許す。

これぞ人智の及ばない自然の采配と言わざるを得ない。。



人の世界の常識が通用しない昆虫の不思議な世界。

忌むべき存在である者たちを、あえて排除しようとしない。
それは、そのようにプログラミングされていないのだ。
脳と、その指令を実行する体が小さいので、昆虫の生物としての完成度は
限定される。

しかし、それが逆に、
自然の理にかなっているというのだろう。




『ファーブル昆虫記』へのオマージュ

(『 完訳 ファーブル昆虫記 第一巻 下 』ジャン=アンリ・ファーブル  奥本大三郎 訳  )