ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

ダルデンヌ兄弟『息子』

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淡々と、日々たんたんと暮らす男。

男は、職業訓練校で木工技術を教える大工だ。

そこへ一人の少年が入校してくる。

感情を表に出さない男が動揺する。

最初は少年の教室入りを拒否するが、抗いがたい何かにつき動かされ、

少年に大工仕事を教えることになる。



観客は、男と少年の関係がわからない。

なぜ、この男はこんなに動揺しているのか?

なぜ、妻と別れ、独り孤独に暮らすのか?

そして、この題名。


Le Fils

息子


この少年は男の子どもなのか?

いや、違う。

男は他の生徒たちと同様、少年にも仕事を教える。



そして後半。

二人の関係が明かされる。

それは、

およそ考え得る

最悪の関係であった。



主人公の男の演技(と言っていいのか疑問なほど)がすばらしかった。

男は少年を許せるのか、本人にも、観客にも分からない。

だが、与えられた試練を、甘んじて受け入れた男に驚嘆せざるを得ないのだ。


すばらしい映画だった。





( Bunkamura ル・シネマにて 2012 3 )




英語字幕