ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

長崎 外海 群青の海

その日その海は、

ビロードの生地を敷いたように凪ぎ、

濃く、妥協を知らない、こころざし高き紺色で。

そして、光沢を帯びていた。

隠れキリシタンの里、長崎県長崎市外海(そとめ)町。

丘陵地帯に取り囲まれ、自然に隠されたように点在する小さな漁村。

一時間に一本のバスを乗り継ぎ、徒歩で来る観光客は少ない。

私は自身の心の巡礼地としてこの地を選んだ。


そうはいっても、私は未だに、自分の魂のより来るところを特定できずにいる。

キリスト教徒ではない。洗礼も受けていない。

あやふやな信仰心しか持ち合わせていないし、心は常に揺らいでいる。

かといって、全く違うのかと言うと、

『ちがいはしない。』

と心の声がつぶやく。

しかし、誰よりも、その日を待ちわび、希求していることは確かだ。