強風が吹き付ける小さな島々。
平地が少なく、海からすぐに切り立った山が迫る。
断崖を無秩序に繁った植林がおおう。
この西の果ての地に、四十もの教会群があると言うから驚きだ。
それは、長崎で見た壮麗な教会とは全く違うものだった。
石造りの無骨な外観。
こじんまりとした内部。
この島に逃れて来た禁教下の信徒たちが、
まさに心血を注いで、手で積み上げた教会堂。
長年密かに守り続けられた祈りの場。
厳しい生活と、激しい
キリシタン弾圧が生み出した究極の信仰心。
これなくして生なし。
これ以上のものは、この地上にはない。