ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

芥川龍之介 一   『杜子春』

先に書いた夏目漱石が、水墨画的色彩なのに比べ、

芥川龍之介の作品は極彩色、派手派手だ。ショッキングだ。

この物語に出てくるのは、極彩色の地獄絵巻。

〈前半割愛〉

色々とあって、

「人間を辞めてしまいたい。」

と、仙人に懇願する杜子春

「なにがあっても口をきいてはならない。」

と、念を押され、

杜子春は仙人修行を始める。

恐ろしい化け物が次々と杜子春を襲う。

必死で恐怖心を飲み込み、息を殺している。

ついに体をバラバラにされ、

地獄へと落ちていく。

地獄のありとあらゆる責め苦にあう亡者。

杜子春は、仙人の言いつけを守り、黙している。


ふと気が付くと、二頭の馬が鬼にむち打たれ、責め苛まれている。

その顔が自分の両親であることに気が付く。

たまらず、両親の名を叫ぶ。


これほどの悪夢、恐ろしい光景はない。

まだ、現世のほうがマシというものだ。