ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

わたしからわたしへの手紙

今週のお題「鬼」

 

 

わたしからわたしへの手紙


お元気ですか?

わたしは、以前とちがって、

目立たないように、こそっと、

卑劣な感じで生きています。

卑劣の


似てますね漢字が。

 

 

鬼はたしかに角を持った二足歩行の生物が駆けずっているように見えます。

 

卑の方は、角を持った二足歩行の生物の、

片足立ちでしょうか?笑

 

 

 

 

 

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雪山童子



 

 

 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

映画『ミスター・ホームズ』再考

お題「ゆっくり見たい映画」

 

 

 

起こってほしくない現実。

 

理想で説かれる世界とは、違う自分の姿。

 

 

 

 

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真実を突き止めることに意味はあるのか?

 


真実は救いとなるのか?

 

 

 

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ookumaneko127.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

小説『カイコ』(注意:虫出演中)

お題「わたしの癒やし」

 

ミイちゃんは、困っていました。

先生になんて言おう?

困りすぎて泣いてしまいそうでした。

せっかく持ち帰ったあの子を食べられてしまうなんて!
みんなのアイドルのあの子。


ミイちゃんの学年は修学旅行で、かつて養蚕業の盛んだった地域に行くことになりました。

先生は、授業でみんなに養蚕のことを教えました。

美しい絹の布地を子どもたちに見せ、これは何で出来ていますか?と聞きました。

みんな分からずにモジモジしています。
学級委員の子が「それはカイコの糸です」と手をまっすぐ上げて答えました。
みんなが響めきました。

「そうです。よく知っていましたね」
と先生が言いました。

「おばあちゃんの家で、カイコを飼っているんです」
その子が言いました。
「葉っぱをいっぱい食べるんです」

先生はその子に、みんなに見せてもらえないか、
おばあちゃんに頼んでくれるように言いました。

後日、その子が虫カゴを持って登校しました。

 

 

 

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その虫カゴに入った白いイモムシは、みんなのアイドルになりました。
みんな休み時間には、虫カゴに集まり、虫を覗き込んでいました。
虫は子どもたちの注目を集めていることを知ってか知らずか、モリモリと葉っぱを食べ続けていました。

その様子を見ていた先生が、良いことを思いつきました。
その日から、みんなで順番にカイコを持ち帰り、一晩世話をすることになったのです。

ミイちゃんは、早くその日が来ないかと、待ち遠しくて仕方ありませんでした。
毎日あと何日あと何日と指折り数えました。

そしてとうとう、ミイちゃんの番がやって来ました。

ミイちゃんは、その日、そーっと虫カゴを持ち、いつもよりゆっくりと歩いて下校しました。

そして家に帰ると、早速お母さんに見せて説明しました。

「あのねこの子は絹に変身するんだって」

「あら、そうなの?」

お母さんは笑って聞いていました。

「だから大事にお世話しないといけないの」

ミイちゃんは、お風呂に行く時とご飯の時以外は、ずっとカイコの虫カゴを覗き込んでいました。

こんな小さな虫が、どうやってあんな綺麗な絹の布地に変身するのか?ミイちゃんには想像もできませんでした。そして、それを見逃さないようにしなければいけないと思いました。

ミイちゃんはその夜夢を見ました。

カイコの夢でした。

葉っぱをいっぱい食べて、まるまると太ったカイコが、いよいよ孵化する時が来ました。

カイコの背中がぱっくりと割れて、中からクシャクシャにしたハンカチのようなものが出てきました。

ハンカチはそろりそろりと少しづつ広がり、綺麗な光沢のある布地になりました。

 

 

 

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Yuki Hirano

 

 

ミイちゃんはカイコの虫カゴを枕元に置いて寝ました。

夜中になって、さすがに寝床に虫がいることを気味悪く思ったお母さんが、虫カゴを廊下に出しました。

次の朝、ミイちゃんは目が覚めると早速カイコの様子を見ました。
しかし、枕元に置いたはずの虫カゴがありません。
急いでふすまを開けると、そこに虫カゴがありました。

しかし、フタが開いていてカイコの姿はどこにもありません。
「ミイちゃん」
お母さんが声をかけました。
「お母さん、カイコは?どこに行ったの?」
「食べられちゃったみたい」
「だれに?」
「ネズミに」
「うわ〜ん!」

それを聞くなり、ミイちゃんはワッと泣き出してしまいました。
どんなにお母さんがなだめても泣きやみません。
お母さんは、空の虫かごを持って泣いているミイちゃんといっしょに登校し、
担任の先生に、この出来事を説明し謝りました。

 

その数週間後、修学旅行は滞りなく行われました。
蚕の飼育場を見学し、蚕の繭から糸を取り出す作業も、見せてもらいました。

修学旅行から帰ってきて、ミイちゃんは腹立たしい気持ちになっていました。

旅行に行く前のワクワクした気持ちとは大ちがいです。

「繭を茹でる?」

「繭から糸をはぎ取って、それで絹糸を作る?」

何と言うことでしょう!
あんなにみんなで可愛がっていたアイドルの運命は、
釜茹でと、追い剥ぎの刑なのでした。
何と言うことでしょう!
なんと残酷な!

ミイちゃんは思ったのでした。

(まだ、ネズミに喰われた方がマシかも)

 

 

 

 

 

 

 

 

ホーム・アローン

お題「好きなシリーズもの」

 

 

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ミイシャ「ホーム・アローンがリメイクされちゃう」

残念そうに言っています。

わたし「そうなの?誰が主役やるの?」

 

ミ「知らない」

 

わ「あの映画が好きだった?」


ミ「ママ、わかってない!」

 

しょうが無いから世間知らずの母に教えてあげよう、と言うふうに。

 

ミ「あの映画は、マコーレー・カルキンじゃなきゃダメなの」

 

わ「そうなの?」

ミ「映画が大当たりして、急に大金を手にした両親が離婚し、家庭崩壊し、自身も薬物依存症になり、
プライベートでマコーレーが詰んだところまでが、

ホーム・アローン』なんだよ!」

 

わ「闇深いわ〜」

 

ミ「でしょ」

 

わ「トランプも大統領になったり?」

 

(起こってほしくないことが、全部起こってしまうみたいな)


ミ「ホント子役の世界って…」

わ「お前もな」(闇深い)

 

ミ「へっ?」

 

(気の毒だとか思え)

 

 

 

 

 

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『小箱妖怪』認知症未満

ピンポ〜ン!

玄関のインターホンが鳴りました。

夜なのでねこじさんに出てもらいました。

玄関に立っていたのは、義父。

ねこじ「お父さん、夜にどうしたの?」

ぎふ「何か分からない物が届いたんだけど」

そう言って、手に小さな箱を持っています。

 

 

 

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その小箱は、ガムテープでぐるぐる巻きにされ、宛名は全て横文字の、見るからに怪しいシロモノです。
ほかの国だったら、受け取っただけで捕まりそうです。

「全く身に覚えがないんだけど、お前知らないか?」

そういう送りつけ詐欺もあるらしく、開けた方がいいかどうか、判断出来ないと言っています。

ラチが開かないので、ねこじさんがバリバリと箱の包みを開けてしまいました。
中にはなんと、剃刀の刃が入っています。
ねこじさんも、騒ぎを聞いて見にきたミイシャも絶句しています。
ところが義父がひとこと。

ぎ「あ」

ね「あ、って何だよ?」

ぎ「アマゾンで頼んだカミソリの刃だ」

今思い出したと、
アタマの回路がつながった義父の言い訳と説明を皆まで聞かず、
ねこじさんが玄関のドアをバタン!と閉めました。


ある夜わが家に現れた、小箱妖怪のお話なのでした。

 

 

 

こちらの、背筋も凍る小さな箱の物語もどうぞ。

シャーロック・ホームズダンボールの箱』

 

 

 

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『オリエント急行殺人事件』今ごろレビュー

お題「ゆっくり見たい映画」

 

 

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枕が良かった。
(まくら:物語の導入部、落語ではこう呼ぶ。
物語の本編から受けたインスピレーションで、自由に創作される。ほぼ二次創作。
談志は40分間も枕をやった)

 

 

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ジョニー・デップの演技が上手かった。
この役で(たぶん線が細いことを克服するために)10kg太ったとか?
(確かにふてぶてしくみえる)
ジャック・スパロウとか、シザーハンズとか、演技どうこういう以前の映画しか知らなかったので、驚きました。

そして
オリエント急行という豪華列車のゴージャスな演出!
それだけで物語が描ける。
映画が撮れる!笑

よく出来ている映画だと思う。


原作はアガサ・クリスティの『オリエント急行の殺人』

 

 

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この小説は、実際にあったアメリカの誘拐事件をモデルにしていて、
当時は大変にショッキングな悲劇的なニュースとして、
海の向こうの女流作家に影響を与え、この小説を書かせたんでしょうね。

 

 

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リンドバーグ事件

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ただ現在では、その誘拐事件自体が、作り物だったのではという説もあるそうです。

 


事件の真相に興味のある方は(それを匂わせる)アガサ・クリスティの別作品。
『ジョニー・ウェイバリー誘拐事件』
を合わせてご覧になってみては如何でしょうか?

オリエント急行の殺人』の10数年後に書かれた物語です。

 

 


archive.org

 

 

 

 

 

やわらかい石–ノマドランド 

お題「ゆっくり見たい映画」

 

ノマドランド』今ごろレビュー

 

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観終わった感想は「良かった」

もともとこの女優さんが好き。

自分も老齢になり高齢者の生き様が気になる。
特に女性の。

あんまりそういう映画ない。


主人公が暮らしていたのが、
石膏鉱山でかつて栄えた町。
鉱山が閉山し住まいを追われ、車上生活者となる。

車と自分に食べさせるために、季節労働を探し、
駐車場確保、車のメンテナンスから排泄物の処理まで
全て自己責任で行い生きる。

 

漂流する高齢労働者。羨ましくもある潔い生き方。

 

 


象徴的だと思ったのが、
映画の中に何度も石が出てくること。


車上生活者の集いが開かれる場所が

『水晶の町』(クオーツサイト)

石をコレクションする冒険家の女性。

「わたしが死んだら焚き火に石を投げ入れてほしい」

そう言う弔い方があるのだろうか?

石屋。

石でデコられたライター。

国立公園の石。

くにゃくにゃの形の(やわらかい)石。

 

 

ひと粒の砂が、長い年月風雨や圧力やらにさらされて、小さな石になる。
そして成長し、岩になり山になる。
その砂は元は、宇宙に漂うチリであり、星の爆発によって放たれた原子である。

わたしの身体も同じ物で出来ている。
山は動かないように見えているが、いつか崩れる時がやってきて、
死と再生を繰り返している。人間も同じ、やわらかい石なのだ。

 

 

 

 

youtu.be

 

 

 

 

 

余談ですが、

車上生活者の女性スワンキー。

知人の冒険家と同じ目をしています。

調べたら、本人役で出演している実在の人物だそうですね。