『小箱妖怪』認知症未満
ピンポ〜ン!
玄関のインターホンが鳴りました。
夜なのでねこじさんに出てもらいました。
玄関に立っていたのは、義父。
ねこじ「お父さん、夜にどうしたの?」
ぎふ「何か分からない物が届いたんだけど」
そう言って、手に小さな箱を持っています。
その小箱は、ガムテープでぐるぐる巻きにされ、宛名は全て横文字の、見るからに怪しいシロモノです。
ほかの国だったら、受け取っただけで捕まりそうです。
「全く身に覚えがないんだけど、お前知らないか?」
そういう送りつけ詐欺もあるらしく、開けた方がいいかどうか、判断出来ないと言っています。
ラチが開かないので、ねこじさんがバリバリと箱の包みを開けてしまいました。
中にはなんと、剃刀の刃が入っています。
ねこじさんも、騒ぎを聞いて見にきたミイシャも絶句しています。
ところが義父がひとこと。
ぎ「あ」
ね「あ、って何だよ?」
ぎ「アマゾンで頼んだカミソリの刃だ」
今思い出したと、
アタマの回路がつながった義父の言い訳と説明を皆まで聞かず、
ねこじさんが玄関のドアをバタン!と閉めました。
ある夜わが家に現れた、小箱妖怪のお話なのでした。
こちらの、背筋も凍る小さな箱の物語もどうぞ。
シャーロック・ホームズ『ダンボールの箱』