ookumanekoのブログ

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やわらかい石–ノマドランド 

お題「ゆっくり見たい映画」

 

ノマドランド』今ごろレビュー

 

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観終わった感想は「良かった」

もともとこの女優さんが好き。

自分も老齢になり高齢者の生き様が気になる。
特に女性の。

あんまりそういう映画ない。


主人公が暮らしていたのが、
石膏鉱山でかつて栄えた町。
鉱山が閉山し住まいを追われ、車上生活者となる。

車と自分に食べさせるために、季節労働を探し、
駐車場確保、車のメンテナンスから排泄物の処理まで
全て自己責任で行い生きる。

 

漂流する高齢労働者。羨ましくもある潔い生き方。

 

 


象徴的だと思ったのが、
映画の中に何度も石が出てくること。


車上生活者の集いが開かれる場所が

『水晶の町』(クオーツサイト)

石をコレクションする冒険家の女性。

「わたしが死んだら焚き火に石を投げ入れてほしい」

そう言う弔い方があるのだろうか?

石屋。

石でデコられたライター。

国立公園の石。

くにゃくにゃの形の(やわらかい)石。

 

 

ひと粒の砂が、長い年月風雨や圧力やらにさらされて、小さな石になる。
そして成長し、岩になり山になる。
その砂は元は、宇宙に漂うチリであり、星の爆発によって放たれた原子である。

わたしの身体も同じ物で出来ている。
山は動かないように見えているが、いつか崩れる時がやってきて、
死と再生を繰り返している。人間も同じ、やわらかい石なのだ。

 

 

 

 

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余談ですが、

車上生活者の女性スワンキー。

知人の冒険家と同じ目をしています。

調べたら、本人役で出演している実在の人物だそうですね。