ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

『メアリー・ライリー』

今週のお題「映画鑑賞の秋」

ティーヴンソンの『ジキル博士とハイド氏』の二次創作です。
 
ビクトリア朝の使用人のひとりの女性(ハウスメイド)。彼女の生い立ち、仕事。
とりわけマスター(ご主人様=ジキル博士)とのプラトニックな関係を書き綴った日記。
 
という設定のフィクションです。作者は現代人。ヴァレリー・マーティン女史。
 
 
当時はあまり教育を受ける機会もなかった(文字を読み書きできなかった)
と思われていた、被支配者階級の使用人が書き残した手記などは実在する。
19世紀の虚飾なきところの支配者階級の姿、それを支えていた使用人達の仕事、
風俗などを知る上で、貴重な資料であるとともに、読み物としても面白く、
(連ドラみたい)イギリスではその書籍化が、ベストセラーになっている。
 
 

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『Mary Reilly』
 
 
小説『メアリー・ライリー』の映画化。
この映画は、素晴らしい!
そして最低です。
 
ビクトリア朝の研究者シャーロキアンに言わせると
当時の労働者階級の生活、風俗が非常に上手く表現されているそうです。
 
役者もいい。ジョン・マルコヴィッチ、演技は下手だけどイノセントの表現者としてはJ.R.も良しとしましょう。そしてグレン・クローズ
(彼女の悪役は凄みがあり一級品、男性はゾッとするようですが。笑)
 
 

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なのに、駄作。
文芸作品としてまとめれば良いものを、中途半端なスプラッタホラーにしてしまった。
最後のCGなどいらぬ!役者の演技だけで十分だ。
 
素晴らしい再現性も台無しっ!
 
な、作品です。
 
駄作を甘受する懐の大きな方。素晴らしい素材の上に乗っかった、
素晴らしく趣味の悪い何がしかをご堪能ください。
これこそ悪夢と言わざるを得ない。
 
 
 
『Mary Reilly』(邦題 ジキル&ハイド)1996年。(英語)
グロい表現があります。ご自身の責任でご覧ください。