ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

高村光太郎『梟の族』

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Carolyn Lehrke





――聞いたか、聞いたか
ぼろすけぼうぼう――

軽くして責なき人の口の端
森のくらやみに住む梟(ふくろふ)の黒き毒に染みたるこゑ
街(ちまた)と木木(きぎ)とにひびき
わが耳を襲ひて堪へがたし
わが耳は夜陰に痛みて
心にうつる君が影像を悲しみ窺(うかが)ふ
かろくして責なきは
あしき鳥の性(さが)なり

――きいたか、きいたか
ぼろすけぼうぼう――

おのが声のかしましき反響によろこび
友より友に伝説をつたへてほこる
梟の族、あしきともがら
われは彼等よりも強しとおもへど
彼等はわれよりも多弁にして
暗示に富みたる眼と、物を蔵する言語とを有せり
さればかろくして責なき
その声のひびきのなやましさよ
聞くに堪へざる俗調は
君とわれとの心を取りて不倫と滑稽との境に擬せむとす
のろはれたるもの
梟の族、あしきともがらよ
されどわが心を狂ほしむるは
むしろかかるおろかしきなやましさなり
声は又も来る、又も来る

――きいたか、きいたか
ぼろすけぼうぼう――






夜陰に執拗に鳴き続ける梟の鳴き声。
詩人の悩ましい気持ちが伝わってきますね。


人の話し声も、時に毒ですね。
苦手な音を集音しない良い方法は無いものでしょうか?
音は音を相殺するというので、好きな音楽でもかけましょうか。夜中に?


ごく身近なところにも、イヤな音はありますね。

「ママ、これまだ洗ってないの?えー?!」