ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

『白光 』魯迅

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carmen orasanu




冴え渡った月が独りゆるゆると寒夜の空に出現した。


青い空は一つの海のような工合で、そこにいささか見える浮雲は、


さながら筆洗(ひっせん)の中で白筆(はくひつ)を洗ったように棚曳(たなび)き、


冴え渡った月は陳士成(ちんしせい)に向って冷やかな波を灌(そそ)ぎかけ、


初めはただ新(あらた)に磨いた一面の鉄鏡に過ぎなかったが、


この鏡はかえって正体の知れぬ陳士成の全身を透きとおして、


彼の身体の上に鉄の月明(げつめい)を映じた。







(『白光 』(びゃっこう)魯迅  井上紅梅訳) 




目先の権威欲望人為一切に囚われ、
疑おうとしない人の性(さが)。
あざ笑う骸骨。
溺れた者がもがき掴もうとする水草

簡潔かつ骨太な文体で、鮮烈に描き出される男の一生。





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TANAKA juuyoh(田中十洋)




12月14日、一昨日の夜。
今年最後のスーパームーンというので、一目見ようと思い立ち、
すでに寝支度だったのですが、起き出しカーテンを開けました。
窓からはベランダのひさしがジャマをして見えず、
しかし、雲の海が明るいので何かありそうです。
上に行けばいくほど明るさが増すようでした。
そこで畳に頭を擦りつけて、ひれ伏す程で空を見上げたところ
ひと際白く光る月が、光輪の中心にいました。