ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

織田作之助『金木犀』

ある夜、暗い道を自分の淋しい下駄の音をききながら、歩いていると、

いきなり暗がりに木犀の匂いが閃いた。
私はなんということもなしに胸を温めた。雨あがりの道だった。



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二、三日してアパートの部屋に、金木犀の一枝を生けて置いた。

その匂いが私の孤独をなぐさめた。私は匂いの逃げるのを恐れて、
カーテンを閉めた。

しかし、その隙間から、肌寒い風が忍び込んで来た。
そして私のさびしい心の中をしずかに吹き渡った。それが私を悲しませた。


一週間すると、金木犀の匂いが消えた。
黄色い花びらが床の間にぽつりぽつりと落ちた。

私はショパンの「雨だれ」などを聴くのだった。





織田作之助 暈  編集あり)







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常日ごろショパンは女こどもの聴く音楽だ」

と豪語しておりましたS氏、オープンリールにブーニンを録音し
「このライブは緊張してしまったようだ」「繊細すぎていかんな」
などとやっておりました。総合するとブーニンファンなのでした。笑


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いい感じのおじさんに仕上がっていますね。


スタニスラフ・ブーニン
最年少でショパンコンクールで優勝し、数々の賞を受ける。
ショパンを最も得意とするピアニスト。


(S氏:マイファーザー)