ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

小説『あきみさん』

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お母さん、バスにあきみさんが乗っていたよ。

すっかり人相が変わってわからなかった。

優先席に座ってたよ。デパートの紙袋両脇に二つも抱えて。

相変わらずだね。

最初は分からなかったんだけど、

降りるときに、バス停にご主人が待っていて分かった。



何年も前のお祭りの時、あきみさんがね、ジッと私の顔を見て、

手を握って、何だろうと思ったら、

お菓子をくれたの。可愛いえんどう豆の形の落雁

とっても美味しかったんだけど、どこで買ったんだろう?

その後、わたしが、神主さんに出すお膳で、どえらい失敗をして、

あきみさん、すっかりわたしに愛想をつかしたみたいだけど。

あはは、良かったじゃん、気に入られなくて。

あはは。ホントだ。

でもあのご主人、献身的だよね。ずっとバス停で待ってるなんてさ。



あきみさん、こわいからね。