いちょうの木
庭の銀杏の木が、
昨日の強風で葉っぱを撒き散らしている。
「さあ、早くわたしの髪の毛を片付けておくれ」
銀杏の木は半世紀以上、
地盤が硬く根を深く張れない、
この日当たりの悪い庭に居座っている。
「家を守っているのさ」
水分の多い葉っぱは、地面にへばり付いて、
なかなか素直に掃かせてくれない。
数日そのままにして乾燥させなければ。
「ああ、目まったるい、早く掃いてしまうんだよ、
この野呂間!」
大お婆さんの植えた銀杏の木。
娘たちは無関心。
嫁は腰が難儀だが、履き清めるのが嫌いではない
海
「海に着いたよ」
と起こされると、
周りには殺風景な駐車場と防砂林が見える。
松林の何でもないような一本道を歩き出す。
そのうち、こらえ切れない気持ちが湧き上がってきて、
次第に早足に、終いに走り出してしまう。
足の裏が砂地に到達して、目の前の風景が開け、
そこに海が横たわっている。
青く、青く…。
夏の思い出
台風一過
空に晒した絹の反物
みるみる紅く染まっていく
ああ、明日も暑くなる (9月9日 夕方)
皆さまのお住いの地域の、台風の影響は如何だったでしょうか?
9日午前3時に停電で電話機がピーピーと鳴り出し、
起こされました。
午前4時に最大風速、豪雨。恐ろしげな音が、止むことなく押し寄せる。
しかし好奇心にかられ、カーテンを開け、覗いてみました。
そこには、ふだんの見慣れた風景とは別の光景が。
幹線道路は、海側から少し高くなっていて、
古地図を見ると、ここが古の海岸線だったようです。
道路から海側は、かつては湿地だったそうで。
昔はよく水が出たんだよ。と聞きました。さもありなん。
そして住まいのある山側は、水害とは無縁と思っていたら、これが!
いつもの国道が、川になって横須賀方面に流れているではありませんか!
翌朝。
街路樹の倒木、建築材の落下、販促物、木の枝葉、木の実、ゴミの散乱。
近所の商店街や会社の、一階部分に水が流れ込み、
薬局は、低い位置に置いていた商品がダメになり、
パン屋はこれまた、
大きな袋に入ったパン粉を、そのまま捨てていた、
と駅まで歩いて、入場制限で入れず、戻ってきた家人が話していました。
しかし、この程度でマシと言わねばなりません。
家の前に吹き溜まったゴミを、掃いてはいて、吐きそうなワタシ
今週のお題「台風を振り返る」