ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

母の終活

「老婆だってさ!ろうば!」
母(姑)がテレビに怒っている。
自分ぐらいの年齢の人をそう呼んだと。
テレビも気の利かないことだ。
せめて老婦人とでも言えば良いものを。


母(実家)は髪を染めなくなった。
それまでは美容院に行ったり、自分でも染めていたのに。
もう「おっくう」なんだろう。
今は真っ白になった髪にスカーフを被っている。
レースのカーテンがボロくなったので、新しいのを買って届けようと言うと、
「もう配達はイヤ」だそうで。
それじゃあ、うちに届けてもらってわたしが持っていく。
ということになった。するとしばらくして。
「カーテンも要らない」
「ここにもう長く居ないから」

それで今、レースのカーテンなしで、分厚いカーテンを締め切っているんですが。
『陰気くさいよ!』
「お母さんそう簡単に老人ホームなんて入れないよ
月々結構かかるし
人気のところは二年待ちだって」

周りに迷惑かけたくない、という気持ちなんだろうけど、
幕引きにはまだ早い。


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Masaki Tokutomi
 
 
 


母の好きな紫色。
桔梗の花はなぜか老婦人を想わせる。