雨が、さっと降出した
停車場へ着いたときで
季節は卯の花くだしである。
雨はその花を乱したように、夕暮れに白かった。
やや大粒に見えるのを、もし掌にうけたら、
冷く、そして、ぼっと暖かに消えたであろう。
空は暗く、風も冷たかったが、
湯の町の但馬の五月は、爽やかであった。
城崎を想ふ 泉鏡花
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