ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

雨が、さっと降出した

停車場へ着いたときで


季節は卯の花くだしである。

雨はその花を乱したように、夕暮れに白かった。
 
 
やや大粒に見えるのを、もし掌にうけたら、

冷く、そして、ぼっと暖かに消えたであろう。

空は暗く、風も冷たかったが、

湯の町の但馬の五月は、爽やかであった。





城崎を想ふ 泉鏡花















卯の花腐し 卯の花の咲いているころに降りつづく長雨