翡翠色の海
今日の逗子の海は、退色したエメラルドグリーン。
透明感とよそよそしさ、
知性的。
控えめ 高貴。
時にやわらかい乳白色。
控えめ 高貴。
時にやわらかい乳白色。
現在出回っている翡翠のほとんどは、樹脂の浸潤加工や着色が当たり前。
天然そのままとはいかないようです。
一度だけ未加工の本物を見ました。
ずいぶん前に、上海の博物館で。当時は前出の加工技術はなかったはずです。
しかも貴石には、装飾品以外の別の用途がありました。
硬く割れやすい貴重な石は、
当時最高の技術を持った職人の手にかかり、
薄い板状の鱗に加工され、
繊細な金糸で丁寧に繋ぎとめられ、
鎧へと生まれ変わった。
翡翠の高貴な緑色は、邪悪なものを払う力が宿ると言います。
その鈍い輝きの中に包まれた貴人は、
静かに眠っていました。
永遠の贅沢な時間を、甘受しながら。
そんな海の色でした。
2015.7.2
photo Naha