ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

サンキュー・ジョン

二番目の妻エルミンダに贈られた、ヴィラ=ロボス五つの前奏曲から始まった演奏会。


演奏者の指はなめらかに、フィンガーボードの上を滑り出した。
白い指は疲れを知らず、休むこともなく、時に軽快に、繊細に、そして力強く滑走した。

どれも難曲ぞろい。
しかし、演奏者の妙技によって紡ぎ出された音は、そこで造り出されたと言うよりは、
始まりの時から、既にそこにあったように、自然で美しく。
演奏者の体からにじみ出し、一つの風景を作り出していた。


この境地に達するまでに、どれだけの鍛錬を積んだのだろう。
しかし、そんな職人的な泥臭さは一切感じられない。
貴公子の名に恥じない、エレガントさ。72歳にして、この美しさ。


そして、他の演奏者の追随を許さない、この演奏者の特徴が、
『使命感』ではないだろうかと感じた。

『西欧世界以外の民族楽曲を西欧のクラシック音楽界に知らしめる』

静かな強い信念、真摯な人となりがひしひしと伝わってきた。
これぞライブの醍醐味。



アンコールはバリオスのフリア・フロリダ (舟歌
ゆったりと船底を打つ波の音に、しばし思いを馳せる。





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                                                                                                                   photo by pheαnix




2時間の間、満員の聴衆を魅了し続けた。





( ジョン・ウィリアムス ギターコンサート2013.10.24 )