長崎 美しき残骸
それは、ただ二つのうちの、もう一つではなく、
この長崎を置いてないだろうと思います。
爆心地を訪れた時、そう確信しました。
浦上天主堂の外壁。
焼け崩れた異国の赤い煉瓦の一つ一つ。
そして天使や聖人たちの残骸。
この痛ましき至上の美の前には、あらゆる言葉は色を失うのだ。
ただ、祈りの言葉をのぞいては。
ただ、祈りの言葉をのぞいては。
咎なき者に咎を与え
天はその矛盾に悶絶した
天はその矛盾に悶絶した
もはや一秒も逆行し得ないことに
七転八倒の苦しみを覚え
時間を永遠に止めた
その光景に目がつぶれ
あらゆる色彩を奪い去り
二度とよみがえらせないと決めた
鳥は喜びの詩を決して歌わないように
ただの獣に替えはずかしめた
(数年前に長崎を訪れた時に書いた詩です。
西欧諸国の人々が一人でも多く、この長崎の地を訪れることを願って止みません。
写真 Kazuya Inoh)