ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

バックパッカーと首の皮一枚の私たち 三

採石場の宝石探しのような私の仕事。

そういうワケで、ホテルにクオリティなど最初から求めてはいない。

ただ、安全に眠れればいい。

そして、清潔であればなおいい。

食事は外で済ませたほうが、安いし美味しいし、面白い。

それならば、安宿のドミトリーに泊まればいい、と、旅慣れた人なら思うかもしれない。

子どもがいなければそうしていただろう。

私たちは、バックパッカーと首の皮一枚の旅行者なのだ。

そこは、ホテルでないといけない。

子どもがいない時代は、ドミトリーであれ、雑魚寝であれ、当たり前だった。

最悪、熊がいつ入ってくるか分からない状況のあばら屋で、夜を明かしたこともある。

もちろん、トイレなどない。

朝の清廉な空気の中、崩れた小屋の周りはお花畑。

その、美しい神の庭園で私は用を足した。

山登りだったのだ。

自分以外守る者がなければ、この程度のことはなんでもなかった。