ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

夏休みの思い出 三

お父さんたちが、おがくずの山をシャベルで掘り返している。

山の中の資材置き場。

小山のように盛られたおがくずがいくつもある。

両親、私たち、

友達家族。

お母さんはなぜか喜んでいない。

「こんなモノ持って帰ってどうするの?」

メイワクそうだ。

この間の蛍とは大違い。

おじちゃんがこの場所を知っていたらしい。

「ないしょだよ。」

子どものこぶし大の大きな幼虫だ。

宝石のようにピカピカと光っている。

乳白色に。

手に持たされた。

重い。

これが昆虫の重さか?というほど重い。

と、思う間もなく、モゾッと動いた。

ギャ~~。

落っことした。

いくらでもいる。

捕り放題だ。

数日後、彼らは夜、派手に逃げ出した。

段ボールのにわか作りの虫かごを、

どうやってかギコギコと削り、

部屋の天井をブンブンと飛んで、脱走したのだ。

さすが、甲虫の王様。

逃げ足もご立派だ。