セロ弾きのゴーシュ
おいらはセロ弾き、しがない楽士。
今日も今日とて動かぬ指が
弦の上もたもたと歩く。
楽長に怒られ、仲間にゃにらまれ。
赤ん坊のスプーンしごと
一朝一夕にいくものか。
トオテテ テテテイ
つまりこういうことかな?
あいつら毎晩手を替え品を替え、
おいらのジャマをしにやって来た。
音楽なんて分かりはしない。
楽譜だって読めるものか。
けんけんがくがく、騒々しい。
おいらは、すっかり気が動転し、
ギコギコ ゴーゴー、弦が鳴る。
すったもんだのあげくの果て、
あら不思議。
おいらの指が魔法のごとく
弦をすべるようになったってワケさ。
めでたしめでたし。