ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

『路線バスより』小津安二郎

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工藤隆蔵





東京駅から宵のうちに深川に永代を渡って帰るとき
いつも侘びしくなるのは何故か
永代の橋梁から見た浅野セメントの外廓 
川に向かってたった亜鉛葺の倉庫
つづいて町に入ってからの 
小さなメリヤス屋 化粧品店 印刷屋 ラヂオ屋 ガレーヂー
こんなときはいつもbusの中がひどくすいてゐて硝子がどれも汚れてゐて
たった今まで込んでゐたと云った風の頃合で僕には浅野セメント
いつも赤硝子の入った大きな路晋のカンテルに見える