正岡子規『熊手と提灯』2
Gakuto Ochi
Dick Thomas Johonson
二の酉の華やかな賑わいを目にし、急に楽しい気持ちになってきた筆者。
『自分はこの時五つか六つの子供に返りたいような心持がした。
そして母に手を引かれて歩いて居る処でありたかった。
そして両側の提灯に眼を奪われてあちこちと見廻して居るので
度々石につまずいて転ぼうとするのを母に扶けられるという事でありたかった。
そして遂には何か買うてくれとねだりはじめて、とうとうねだりおおせて
その辺の菓子屋へはいるという事でありたかった』
『自分はこの時五つか六つの子供に返りたいような心持がした。
そして母に手を引かれて歩いて居る処でありたかった。
そして両側の提灯に眼を奪われてあちこちと見廻して居るので
度々石につまずいて転ぼうとするのを母に扶けられるという事でありたかった。
そして遂には何か買うてくれとねだりはじめて、とうとうねだりおおせて
その辺の菓子屋へはいるという事でありたかった』
筆者は幸せな幼年時代を送ったのだろうなと、想像されます。
そこは、夏目漱石と決定的に違いますね。
二人の作風にも顕れています。
工藤隆蔵
正岡子規『熊手と提灯』1