ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

セント・オブ・ウーマン

僕は暗闇で、清らかで美しい香りを求めた。

まるで小さな虫が、蜂蜜を探し求めるようにね。






視力を失った元軍人の男。
聴覚、触覚、嗅覚。視覚以外のありとあらゆる感覚が研ぎすまされる。
おぞましい現実を受け入れがたく、言葉になるのは罵詈雑言ばかり。
人間地雷のような日々。
そんな男を人々は見離し、孤独に苛まれ暮らす。

ある時、そんな暮らしに耐え切れず、終わらせようと思い立つ。

暗闇の中でたどり着いた最高の香り、その密を一滴味わいこと切れるのだ。
それが男の最後の望み。

そんな男に、図らずも旅の道連れが出来る。
不運な苦学生の青年だった。





イメージ 1







盲目の男が感覚だけを頼りに、
美しい香りをまとった女とタンゴを踊るシーンは絶品。



( Scent of a Woman 夢の香り 1992 Al Pacino )