ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

香港マニアック熱 其の五「陸羽茶室(ロッユーツァーサッ)に行く。」

言い出したのは超方向音痴の夫。

初心者の観光客には御法度の、老舗の名店である。

波乱の展開を予感させる組み合わせ。

今思いだしても、恐れ多いやら、恥ずかしいやら、

「こっちらしい。」

と、石畳のしゃれた坂道をどんどん登っていく夫。

行けども行けども、ないっ!

迷ったらしいが、閑散として誰もいない。困った。

と、そこへ

身なりの良い中年の女性が、連れと二人で坂道を上がってくる。

迷った観光客に、親切ていねいに、

非常階段のような急な狭い階段を指し示し、

「ここを下って少し行ったところよ。」

とにこやかに教えてくれた。(英語でだったと思う)

こんな、猫しか通れないような階段、通って平気なのか~?

とびびりながらも、彼女の言う通り進むと、

あまりにも分かりやすい場所に陸羽茶室はあったのだった。

あきれるやら、びっくりするやら、

ホッとして気がついた。

「さっきのご夫人は何者だったんだろう?」

子供以外、みんな働く街、香港。おばあさんでも働く、

それなのに‥あんな時間にぶらぶらしていられる身分の人‥。

「!!!香港マダム~??!!!」

伝説の人目撃の瞬間なのでした。