ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

室生犀星『さくら』

イメージ 1
Noelas






すゐすゐたる桜なり
伸びて四月をゆめむ桜なり
すべては水のひびきなり

四阿屋の枯れ芝は哀しかれども
花園になんの種子なりしぞ
しきりに芽吹き

きそよりもなほ萌えづるげ
街のをとめの素足光らし
風に砥がれて光るさくらなり






室生犀星

『前橋公園』





昨日今日と冬が戻ってきたような寒さです。
膨らみかけた桜の蕾も、暖かい春の日差しを夢見ていることでしょう。