SKD
「まったく、髪ぐらい染めりゃいいのに」
姑が近所のAさんのことを言っている。姑と同級生だ。
彼女を見かけると、いつも文句を言う。
何でも娘時代は、松竹歌劇団に入っていたそうで。
当時は美貌とスタイルの良さで鳴らしたらしい。
姑はその頃の彼女と現在とのギャップに、
愚痴を漏らさずにはいられないのだ。
でも独身でなんだか潔い。
春、ゴミ集積所でカラスを追っている時、
向こうの方で、Aさんも同じ様にやっていた。
ほうきを振り上げて。「コラーッ!」と。
その姿がなんとも勇ましい。
それは、体重も年相応に増えただろうし。
髪も白いものがある。
「でもね、お母さん。わたしはあの人の白髪が好き」
「背筋もすっきり伸びていて格好がいい」
「ステキだと思うのだけど…」
背すじも足もスラ〜リ
ジョプリン:ジ・エンターテイナー