ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

秋の夜長のミステリー

若い夫婦が喧嘩をしている。

海の上。

ヨットの上で言い争う夫婦。

若く裕福で傲慢な妻。

それに飽き飽きしている夫。

そして、何かの弾みで妻が海に転落する。

妻はヨットにつかまり、夫に助けを求めるが、夫は手を差し出すことを一瞬躊躇する。

見る間に海に持って行かれる妻。

テレビにはなかった場面。
原作本の冒頭に出てくる。

その後、『姪は夫に殺された。』と確信する老女ミステリー作家が、
この夫を金庫に閉じ込め、窒息死させる。
復讐劇だ。
子どもの頃、初めてこの作品を観た時、その殺しの手口の残酷さに震えたものだ。

この富豪のミステリー作家は不幸な人だ。
仕事の成功によって得た豪勢な暮らし。
しかし孤独で、たった一人の肉親姪っ子を溺愛するが、ただ甘やかし、与えるだけの愛。
どこかで聞いたことがある、このよくある展開が、

また、新たな悲劇を生み出す。


刑事コロンボ   第41話   死者のメッセージ)