小説『年がら年中の洋品店』
今週のお題「好きな街」
その洋品店は年がら年中やっている。
休んだのを見たことがない。
経営者の社長夫妻は出勤しない。
いつもパートの主婦たちに丸投げだ。
彼女たちの日々の奮闘で保っている。
日曜休日も決して休まない。
年がら年中開店して、年がら年中セール中。
社長はニュースに出たことがある有名人。
なんでもニセモノをホンモノらしく売ったらしい。
だから店内の激安洋品類も、よく見ると胡散臭い。
でも、安くてそこそこの品物は、よく見ないお客さんに良く売れている。
お婆ちゃんの姿を、いつの間にか見なくなった。
年がら年中店内に座っていたのに。
社長とは義理の関係だ。
先代のショボい洋品店を、息子が激安バッタ屋に改装し、これが大当たり!
年がら年中の店にあいなった。