あをいタイルの浴槽にひたつてゐる。外は武藏野の風であらうにこの落ちついた心はふるさとを想つてゐる。ぷち――ぷちゆぶねのあちこちに月のやうに浮んでゐる橙の實をそつと下から押へる。兩手の指で押へると種子はあわてゝはねる。いゝ音だ。冬至。ふるさと…
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