ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

バス停にて

「死にてえよ」

お爺さんが情けない顔でこちらを見上げている。

「こう暑くっちゃ」

赤の他人に、面と向かって言うかな?そういうこと!

バス停にはわたしとお爺さんしかいない。

 

「ここはまだマシですよ。風がある」慰めるわたし。

「今K区から来たんですが、向こうはもっと暑いですよ」

へえ、そうなの?という顔のお爺さん。

でも「死にてえよ」

また言った。

「今日はお早かったんですか?」

「息子が……」

ああ、息子さんがお盆に帰ってきて、見送りにでも出たのかな?それで、想像以上にあまりにも暑くて、へたばっている訳だ。

「ああ、死にてえ」

「もうすぐですよ」

ビックリするお爺さん。

「もう暑さもピークですよもうちょっとの辛抱ですよ」

そらそうだ。という顔のお爺さん。

 

あなたの寿命がもうすぐじゃなくて、暑さがな!

 

 

 

 

Oleg Yudin

 

 


お爺さんに言えなかったこと。

 

「神様はこちらの都合で終わりにしてくれない」

『神様は喜劇がお好き』