ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

2019-07-02から1日間の記事一覧

『雨の日に香を薫く』薄田泣菫 3

Masayuki Sugita 香の煙の消えるともなく弱つて往く頃には、私の心も軽い疲労をおぼえて来ますので、私は起つて窓障子を押し開きます。心のうちに落ちてゐるとのみ思つてゐた雨は、外にも同じやうに降りしきつてゐるのでした。薄暗い庭の片隅に、紫陽花が花…