ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

高村光太郎『晩餐』

 

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Taidoh
 
 
 
 
 

暴風(しけ)をくらつた土砂ぶりの中を

 

ぬれ鼠になつて

 

買つた米が一升

 

二十四銭五厘だ

 

くさやの干ものを五枚

 

沢庵を一本

 

生姜の赤漬け

 

玉子は鳥屋(とや)から

 

海苔は鋼鉄をうちのべたやうな奴

 

薩摩あげ

 

かつをの塩辛(しほから)

 

湯をたぎらして

 

餓鬼道のやうに喰らふ我等の晩餐

 






困窮生活を送っていた、高村光太郎智恵子夫妻。
久々にありつく食事の何とも旨そうな描写です。
 
卵かけご飯にたまり醤油を垂らして、かっ込みたくなりますねー。笑