ookumanekoのブログ

言葉を味わう 文学の楽しみ

バーバリ

お題「好きなシリーズもの」

 

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以前ハマったイギリスのテレビドラマ
『ディケンジアン』
ディケンズの描いた物語たちの二次創作です。
二次創作と言えども、ドラマ仕立ての巧みさ、再現性の高さ、役者の上手さに感服しました。

物語の中で、破産寸前の生地商人が登場します。
ビクトリア朝時代に、こういう人もいたんだろうなあと、想像にかたくないのですが、
なんと、名前が『バーバリ』

他の名前ならともかく、そう、バーバリです。

 

 

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イギリスの代表的なファッションブランド



 

ディケンズの書いた、膨大な数の小説を読めば、
おそらくモデルとなった人物が出てくるんでしょうが……。

未だ読むこと能わず。笑


しかし、これが気になって気になって夜も眠れない。
「え?あのバーバリーは、あの発明がなければ破産だったの?」
検索しても出てきません。
然るべきところで、英文の資料でも調べれば良いのでしょうが

(卒論でもなければそんなことしない)
あの有名なギャバジンのトレンチコートの発明。
それ以前のことは何も分かりませんでした。
昨日までは。


今日こんなの見つけましたー。

 

 

 

youtu.be

トーマス・バーバリー物語

 

 

 

なんと、当のご本家がこんな短編フィルムを作っていましたー。

早く教えてくれなきゃ。

それにしてもこのクオリティの高さよ。

 

 

 

 

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

 

 

『マクベス』と二次創作

お題「好きなシリーズもの」

 

闇が極まる冬至から、救世主降誕
そして新しい年の幕開け

この一連の季節の流れにふさわしい物語を、

探してみました。

マクベス』はどうでしょうか?


〈あらすじ〉
戦勝にわく、とある欧州の国。
王と家臣たちが祝宴を開いています。
とりわけ賞賛されるのが、忠誠心と勇猛果敢さで

勝利に貢献した軍人マクベスです。

 

 

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マクベスは三人の魔女から王になると予言される

 


ところがその夜、何を血迷ったか、
マクベスは、王の寝込みを襲い
殺してしまうのです。

その後、マクベスは王位につくも、

暴政と殺戮を繰り返します。

そして、謀反を犯した者の三日天下は続かず…。

 

 

 

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正気を失うマクベス夫人




とまあ、こんな話です。
結末は、

謀反人を追い詰める者が、マクベスを殺し、闇を追い去り、
新しい輝かしい王が誕生する。
やはり、この季節にピッタリするように思います。


 

books.google.co.jp

 

 


おまけ



マクベス』のストーリーを知ってから、
この有名なテレビドラマの名作をご覧になると、
なお面白いのではないでしょうか?

 

archive.org

 


ドラマの中の効果音

「ノック・ノック!」

ダンカン(殺された王)の亡霊がたてる物音。
マクベス夫妻は恐怖心と罪の意識に苛まれ、次第に精神崩壊していく。


本当に良くできたドラマです。

 

 

 

 

 

 

 

 

萩原朔太郎『夢』(とらうむ)

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あかるい屏風のかげにすわつて

あなたのしづかな寢息をきく。

香爐のかなしい烟のやうに

そこはかとたちまよふ

女性のやさしい匂ひをかんずる。


かみの毛ながきあなたのそばに

睡魔のしぜんな言葉をきく

あなたはふかい眠りにおち

わたしはあなたの夢をかんがふ

このふしぎなる情緒

影なきふかい想ひはどこへ行くのか。


薄暮のほの白いうれひのやうに

はるかに幽かな湖水をながめ

はるばるさみしい麓をたどつて

見しらぬ遠見の山の峠に

あなたはひとり道にまよふ 道にまよふ。


ああ なににあこがれもとめて

あなたはいづこへ行かうとするか

いづこへ、いづこへ、行かうとするか。

あなたの感傷は夢魔に酢えて

白菊の花のくさつたやうに

ほのかに神祕なにほひをたたふ。
 
 
 
秋の作家といえば朔太郎ですね。
急いで投稿しています。
 

お題「好きなシリーズもの」

 

 

 

 

 

 

 

 

萩原朔太郎『殺人事件』

お題「好きなシリーズもの」

 

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Jeronimoooooooo



 

とほい空でぴすとるが鳴る。

またぴすとるが鳴る。

ああ私の探偵はガラスの衣裳をきて、

こひびとの窓からしのびこむ、

床は水晶、

ゆびとゆびとのあひだから、

まつさをの血がながれてゐる、

かなしい女の屍体のうへで、

つめたいきりぎりすが鳴いてゐる。

 

しもつきはじめのある朝、

探偵はガラスの衣裳をきて、

街の十字巷路(よつつじ)を曲つた。

十字巷路に秋のふんすゐ、

はやひとり探偵はうれひをかんず。

 

みよ、遠いさびしい大理石の歩道を、

曲者(くせもの)はいつさんにすべつてゆく。

 

 

 


萩原朔太郎『月に吠える』 編集あり)

 

 

禍々しくゆきましょう。十一月ですもの…。

 

 

 

youtu.be



 

 

 

 

 

 

中原中也 山羊の詩

お題「わたしの癒やし」

 

 

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ArTeTeTrA 



 

 

 

いといと淡き今日の日は
 
雨蕭々(せうせう)と降りそそぎ
 
水より淡(あ)はき空気にて
 
林の香りすなりけり。
 
 
 
げに秋深き今日の日は
 
石の響きの如くなり。
 
思ひ出だにもあらぬがに
 
まして夢などあるべきか。
 
 
 
まことや我は石のごと
 
影の如くは生きてきぬ……
 
呼ばんとするに言葉なく
 
空の如くははてもなし。
 
 
 
それよかなしきわが心
 
いはれもなくて拳(こぶし)する
 
誰をか責むることかある?
 
せつなきことのかぎりなり。
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

ookumaneko127.hatenablog.com

 

 

 
 
 
 
 
 

 

国木田独歩『小春』

イメージ 1
写真 工藤隆蔵
 
 
 

 

 

 

 

一年の熱去り、

 

 

気は水のごとくに澄み、

 

 

天は鏡のごとくに 磨かれ、

 

 

光と陰といよいよ明らかにして、

 

 

いよいよ映照せらるる時

 

 

 

 

 

 

 

ウィリアム・ワーズワース 訳 国木田独歩

 

 
 
 


 









今週のお題「秋の空気」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

萩原朔太郎『蝶を夢む』

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                    Albert Vuvu Konde



 

 

 

 

座敷のなかで 大きなあつぼつたい翼(はね)をひろげる 

 

蝶のちひさな 醜い顏とその長い觸手と

 

紙のやうにひろがる あつぼつたいつばさの重みと。

 

わたしは白い寢床のなかで眼をさましてゐる。

 

しづかにわたしは夢の記憶をたどらうとする

 

 

 

夢はあはれにさびしい秋の夕べの物語

 

水のほとりにしづみゆく落日と

 

しぜんに腐りゆく古き空家にかんするかなしい物語。

 

 

夢をみながら わたしは幼な兒のやうに泣いてゐた

 

たよりのない幼な兒の魂が

 

空家の庭に生える草むらの中で しめつぽいひきがへるのやうに泣いてゐた。

 

もつともせつない幼な兒の感情が

 

とほい水邊のうすらあかりを戀するやうに思はれた

 

ながいながい時間のあひだ わたしは夢をみて泣いてゐたやうだ。

 

 

あたらしい座敷のなかで 蝶が翼をひろげてゐる

 

白い あつぼつたい 紙のやうな翼をふるはしてゐる。