バーバリ
以前ハマったイギリスのテレビドラマ
『ディケンジアン』
ディケンズの描いた物語たちの二次創作です。
二次創作と言えども、ドラマ仕立ての巧みさ、再現性の高さ、役者の上手さに感服しました。
物語の中で、破産寸前の生地商人が登場します。
ビクトリア朝時代に、こういう人もいたんだろうなあと、想像にかたくないのですが、
なんと、名前が『バーバリ』
他の名前ならともかく、そう、バーバリです。
ディケンズの書いた、膨大な数の小説を読めば、
おそらくモデルとなった人物が出てくるんでしょうが……。
未だ読むこと能わず。笑
しかし、これが気になって気になって夜も眠れない。
「え?あのバーバリーは、あの発明がなければ破産だったの?」
検索しても出てきません。
然るべきところで、英文の資料でも調べれば良いのでしょうが
(卒論でもなければそんなことしない)
あの有名なギャバジンのトレンチコートの発明。
それ以前のことは何も分かりませんでした。
昨日までは。
今日こんなの見つけましたー。
トーマス・バーバリー物語
なんと、当のご本家がこんな短編フィルムを作っていましたー。
早く教えてくれなきゃ。
それにしてもこのクオリティの高さよ。
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
『マクベス』と二次創作
闇が極まる冬至から、救世主降誕
そして新しい年の幕開け
この一連の季節の流れにふさわしい物語を、
探してみました。
『マクベス』はどうでしょうか?
〈あらすじ〉
戦勝にわく、とある欧州の国。
王と家臣たちが祝宴を開いています。
とりわけ賞賛されるのが、忠誠心と勇猛果敢さで
勝利に貢献した軍人マクベスです。
ところがその夜、何を血迷ったか、
マクベスは、王の寝込みを襲い
殺してしまうのです。
その後、マクベスは王位につくも、
暴政と殺戮を繰り返します。
そして、謀反を犯した者の三日天下は続かず…。
とまあ、こんな話です。
結末は、
謀反人を追い詰める者が、マクベスを殺し、闇を追い去り、
新しい輝かしい王が誕生する。
やはり、この季節にピッタリするように思います。
おまけ
『マクベス』のストーリーを知ってから、
この有名なテレビドラマの名作をご覧になると、
なお面白いのではないでしょうか?
ドラマの中の効果音
「ノック・ノック!」
ダンカン(殺された王)の亡霊がたてる物音。
マクベス夫妻は恐怖心と罪の意識に苛まれ、次第に精神崩壊していく。
本当に良くできたドラマです。
萩原朔太郎『夢』(とらうむ)
あなたのしづかな寢息をきく。
香爐のかなしい烟のやうに
そこはかとたちまよふ
女性のやさしい匂ひをかんずる。
かみの毛ながきあなたのそばに
睡魔のしぜんな言葉をきく
あなたはふかい眠りにおち
わたしはあなたの夢をかんがふ
このふしぎなる情緒
影なきふかい想ひはどこへ行くのか。
はるかに幽かな湖水をながめ
はるばるさみしい麓をたどつて
見しらぬ遠見の山の峠に
あなたはひとり道にまよふ 道にまよふ。
ああ なににあこがれもとめて
あなたはいづこへ行かうとするか
いづこへ、いづこへ、行かうとするか。
あなたの感傷は夢魔に酢えて
白菊の花のくさつたやうに
ほのかに神祕なにほひをたたふ。
萩原朔太郎『殺人事件』
中原中也 山羊の詩
萩原朔太郎『蝶を夢む』
座敷のなかで 大きなあつぼつたい翼(はね)をひろげる
蝶のちひさな 醜い顏とその長い觸手と
紙のやうにひろがる あつぼつたいつばさの重みと。
わたしは白い寢床のなかで眼をさましてゐる。
しづかにわたしは夢の記憶をたどらうとする
夢はあはれにさびしい秋の夕べの物語
水のほとりにしづみゆく落日と
しぜんに腐りゆく古き空家にかんするかなしい物語。
夢をみながら わたしは幼な兒のやうに泣いてゐた
たよりのない幼な兒の魂が
空家の庭に生える草むらの中で しめつぽいひきがへるのやうに泣いてゐた。
もつともせつない幼な兒の感情が
とほい水邊のうすらあかりを戀するやうに思はれた
ながいながい時間のあひだ わたしは夢をみて泣いてゐたやうだ。
あたらしい座敷のなかで 蝶が翼をひろげてゐる
白い あつぼつたい 紙のやうな翼をふるはしてゐる。